心は静かに、氷点下

何だか、すっかり冷めてしまって。

まぁ、別に昔からなんだけど。

人生がひたすら戦いだと思っていた時は、良くも悪くも燃えていた。

けれど一度燃え始めたものは、いつか尽きる定め。

燃え尽きた場所は、寒々とした荒涼な大地と成り果てる。

草木一本生えることなく、終わってしまった世界を象徴しているかのよう。

・・・。

だけどね、冷めてしまった分、他人に対して寛容になれる面もあって。

この前食事した時も、某友人のノロケ話を延々と聞かされたけど。

何か別に、イラっともせんのです。

「ああ、良かったね」って淡々と受け入れて、淡々と祝福する。

人生が苦しくなる理由の多くは、他人に対する嫉妬であり。

自分以外の誰かが幸せであることを妬むのではなく、自分と同じように歓ぶ。

これが自然に出来れば、だいぶ楽になるはず。

私はもっと違う理由で思い悩んでいるので、一足飛びに苦しみから解放って訳にはいかないが・・・私が抱えている事情は特殊だし、ある意味では生まれ付きのハードル設定みたいなもんだ。

・・・それは、それとして。

他人の幸せを眺めている自分に、幸せを感じられるなら。

今まで幸福が、自分とその親しい範囲内で収まっているだけだったものが。

どこまでも広がって、無限の富を手にすることになるだろう。

物質は有限だが、精神的な歓喜に限りなどない。