因縁の女を思い出せば思い出すほど、若菜さんの良さが際立つ。それは相対評価で見ても絶対評価で見ても、明らかに差がある。
俺ほんと、若菜さんが好きだ。もはや好きとかいうレベルの話じゃない。子供の頃から幼馴染みで、ずっと一緒に育ってきたかったって思うくらいだ。君について、俺が一つでも知らないことがあるのが悔しい。もっと早く出会いたかった。
早くあの子をだっこしたい。今まで生きてきて、女をだっこしたいなんて思ったことはただの一度もない。抱きたいじゃない、だっこね。性的な意味じゃない。子供をだっこするように、本当に純粋な意味でだっこしたい。今までの恋愛遍歴をすべて振り返っても、だっこしたい子なんてただの一人もいない。だいたい何だよだっこって。この時点で常人には理解不能だからな。二年前の俺でさえ理解不能。あの子は自分の娘とか、年の離れた妹っていう感じが強い。最初から恋愛をすっ飛ばして家族っていう感じなんだよな。家族になろうよって言う前からすでに家族。あの子の横に並んだ時のしっくりくる感じは、もうすでに身内だったな。前世は絶対に家族。何か理由があって離ればなれになってしまったのかな。俺は昔から子供とか弱い者小さい者に対して異常に庇護欲があって、知らない子供の動画(別に感動系じゃなくてごくごく普通の日常を映したもの)とか見てても泣いてしまうような人間なので自分に子供がいようもんなら毎日大号泣で子育てどころじゃないだろうな。
あの子はいつ何時でも自分と一緒にいていい。「もういい。今日は帰れ」って気にならない。というか離れるって何?みたいな。だっこもそうだけど、とにかく一番近くにいたい。一番近くで存在を感じていたい。
ほんま頭おかしなるで。こんな人がいるなんて知らなかったし、もう二度と会えないなら出会うべきではなかった。だって一度でも知ってしまったら二度と忘れられないんだぞ。