どうして君の名前はそんなに呼びやすいの

若菜さん(本名じゃない)は何でこんなにも呼びやすい名前なんだ。今まで生きてきてこんなに呼びやすい人はいない。他の女のことを考えている時でも、ついつい若菜さんの名前を呟いてしまう。何の気なしに別の女の名前を呼んでしまって揉めることはよくある話だが、あまりにも呼びやすいもんだから本当に困ってしまう。悪気はなんにもないんだ。「ただあまりも君の名前が呼びやす過ぎるから」大真面目にこれ以外の理由はない。会って2日で全然知らない人に夫婦だと思われるくらいの僕らですからね。イブにイブの話をあんだけ書いといて数時間後にこんなことを書いてる俺はやっぱり不義理なんだろうな。でも俺はイブには振られてるから別にいいんだよ。振ったのはあくまでもお前だからな。本来、いつまでも後悔すべきなのはお前の方なんだ。女だからって甘えんなよ。男だって死ぬほど繊細で傷ついてんだぞ。あんまり昔の話はしたくないけどさ、何か俺の人生もあんまり長くない気がするし、色々と過去のことを思い出すんだ。昔の女たち、友だと思ってた奴ら、皆いなくなった。誰一人いなくなった。マコはいる内に入らない。もうあの場所には今年か年明け早々にはいくのやめる。俺はたった一人にならなくちゃいけない。たった一人になって死ぬほど自問自答しなきゃいけない。俺はこの先なにをすべきなのか。俺と一緒にいるべき人は誰なのか。若菜さん、君がどんなに呼びやすくて一年以上一日も忘れられなくて夫婦だと勘違いされても、あなたがたった一人の運命の人なのかは解らない。解るもんか。こんなに苦しい人生だったのに、恋愛なんていう人生の余興でこれ以上は苦しみたくない。

若菜さん、君は僕の名前を呼んでくれていますか?逆に僕の名前は物凄く読みにくいですからね。かつて誰一人、実の親でさえ下の名をフルで呼ぶことは殆どない。いつか僕の名前、ちゃんと呼んでください。僕の目を見つめながら、やさしく名前を呼んでください。ただそれだけで生まれてきて良かったって思える。きっと泣くほど嬉しい。今まで自分の名前あんまり好きじゃなかったけど、君が呼んでくれるなら必ず好きになれる。自分のことも好きになれる。君も君のこともっと好きになって欲しい。