あの人が人生のゴールであるのだから、あの人にもう会えないということは、死ぬまでゴールテープを切れずに終わるということだ。
もはや、ゴールをスルーしてしまった。なにやってんだほんとに。
目指すべきゴールがないまま、どうやってこの先も生きていけというのだ。
なにを心の糧に。なにを心の盾に。もう身も心もボロボロやぞ。冗談抜きで。
またスタートラインに立たされる。生まれた時と同じように。
「よーいどんって言おうか」
出発のかけ声が、今も耳に残る。
違う違う。間違えた間違えた。こんな遠回りをすべきじゃなかったんだ。
せっかく出会えたのに、どうしてまた長い旅に出なきゃならんのだ。
嫌だ嫌だ。君じゃなきゃ嫌だ。
「長い旅になる」
「次に会う時は来世かも知れない」
「その時はどうか選択を間違えないように」
「幸運を祈る」