かえるくん

村上春樹の『神の子どもたちはみな踊る』を読了。

読むのは2回目、最初は文庫、今回はハードカバー……だと思ったらソフトだった。

んーまぁ、正直アレだよね。村上春樹の良さって、ぶっ飛んでる物語と、比喩表現の巧さ多用さにあると思うんだわ。だから、この短編集はうーんって感じ。村上春樹の良さがすっかりスポイルされてしまった感じ。もし村上春樹が最初からこういう小説ばかりを書いていたなら、俺は別に全然好きじゃなかったと思う。

結局、『かえるくん、東京を救う』みたいないつもどおりのテイストの作品が一番面白い。作者もかえるくんがこの短編集で一番人気だという。あれ?やっぱりいつもの奴が人気じゃん。あれ?『スプートニクの恋人』で意図的にやり切ったはずのテイストが好まれてる訳じゃん。正直、この頃の村上春樹は若干迷走してたと思う。名作、『スプートニクの恋人』と『海辺のカフカ』に挟まれているのも何とも言えない。比喩表現の排除、乾いたリアリスティック、三人称への挑戦、新しい文体への取り組みは解るけど、解るけどやっぱり微妙だよねっていう。ツイッターで検索したら、この小説が村上春樹で一番好きって書いている人もいたし、俺が一番微妙だと思った短編を一番好きだと書いている人もいた。本当に感じ方というのは人それぞれである。