続々・喋るために生まれてきた男

サロンにどうしても入ってほしくて、48分59秒も喋る男、中田。

最後なんて選挙演説のモノマネを10分くらいやっていたからな。

台本があってもなくても、ふつうはあんなにスラスラ喋れない。

これが才能……。

人生は祭り。

足もとの石をひろって投げろの精神。

こんな男がいるのか……と、思うけど。

980円は高いし、中田に俺を俺だと認識されたくない。

中田は祭りには遠くで祭りをやってんのかって言って通り過ぎるだけの人も必要だというけど。

嫌だー。

ズームとかよく解らないし、姿を晒したくない。

どんな才能でも使うとは言うけど。

俺に才能なんてないわ。

絵も描けないし、曲だって書けないわ。

俺にできることは何もない。

お前は見ているだけでええんやでって言うなら見ときますけど。

俺なら毎朝リアルタイムで見られるけど。

でもなぁ。

ただ、中田の話を聞けばいいんじゃなくて。

俺の祭りに一緒に参加してくれって言うからさぁ。

企画を一緒にやろう。

ぜひ、参加してくれ。

どんなに小さい才能でも使う。

石でも大きな敵を倒すこともある。

とは言うけどさぁ。

嫌だよ、俺は。

そういうのは。

ルフィの船に乗りたくないじゃん。

海賊王とか途方もない。

芸能界の首領(ドン)になるとか宣言している男の船に乗りたくないじゃん。

ほぼ日は社員のことを乗組員って呼んでいるけど。

中田の船の乗組員になりたくないよ。

祭りという嵐を起こす船。

遠くの遠くで眺めたい。

一番遠い場所から眺めたい。

なんだったら見えなくてもいい。

音が聞こえるだけでもいい。

それでもいいなら参加を考える。

今まさに関ヶ原の合戦をやっているから、入ってくれって言うけどさ。

幕府を開いてからじゃ遅いっていうけどさ。

俺には俺の冒険があるからな。