鏡を読み終わった。

シンプルな怪談話。

学校の夜警の仕事。

ふと鏡が気になり……。

恐怖体験をするが、翌日に調べると鏡なんて最初からなかった。

この家には鏡が一枚もないことに気がついたかい?

鏡を使わずに髭を剃れるようになるには時間がかかるんだぜ、本当の話。

オチは結構好き。

人間にとって自分自身以上に怖いものがこの世にあるだろうかという結論。

鏡の前でタバコを一服というのが、いかにも時代を感じますね。

昔はどこでもタバコだったんだろうね。

昭和が嫌いな理由の一つはタバコ社会だから。

昭和の表現の自由だけ令和に引き継いでください。

これもまぁ、ふつうの話ですね。

特別ゾクゾクする訳でも、文学的クオリティが高い訳でもない。

村上春樹の文章力だからこそ成立している話。

扉が風でギコギコ鳴って、それがまるで肯定と否定をくり返しているようだっていう表現は好きですね。

うん、いや、うん、いや、いや、いや……。

総合的にはよくできているのかな。

カンガルー日和もそうだけど。

この程度のものは俺にだって書けるさってみんな思う訳よ。

じゃあ、実際に書いてごらんよって話になる。

デビュー作の風の歌を聴けも、これくらいのものなら俺にでも書けると実際に同級生に言われたらしい。

村上春樹は短編は舐められがち。

大長編になるとレベルが違いすぎて、参りましたなんだけど。

書こうと思って書けないんだから、やっぱりプロなんだよな。

そういうことなんだよ。

ピカソの絵を見て、なんだこんなの俺にだって描けると思うのと一緒。

お前にゲルニカが描けるか。

1Q84が書けるか。

そういう話です。