とんがり焼の盛衰

とんがり焼の盛衰を読み終わった。

これもまた、村上春樹ワールド全開なお話ですね。

昔からあるとがんがり焼の会社が新しい味を求め、新しいとんがり焼を募集する。

主人公の新とんがり焼は社内で高評価。

しかし、若い層には評判がいいが、年配の層にはこれはとんがり焼ではないという者もいる。

社内は甲論乙駁。

結論は、とんがり鴉に委ねられることになった。

とんがり鴉は、とんがり焼のみを食べる鴉。

それ以外は吐き出して食べない。

主人公の新しいとんがり焼をまいたところ、評価は分かれた。

鴉たちは大乱闘。

主人公は呆れて会社をあとにする。

僕は自分の食べたいものだけを作って、自分で食べる。

鴉なんかいつまでもお互いをつつきあっていればいいんだ。

ー完ー

本当にただそれだけの話である。

センスの共鳴でしか説明できない。

いいからいい。

悪いから悪い。

俺のあらすじだけ読むとつまらなそうだけど、実際に読むと……うん。

俺は嫌いじゃないよ。

もっとつまらない短編はいくらでもある。

よく解らないからいい。

俺ふつうの絵画って全然興味ないんですよ。

変わっていてよく解らない絵画の方が好き。

村上春樹も、意味が解らない方が意味を考えるじゃん。

そんで結局、意味なんてねーじゃん。

あははで終わる。

村上春樹は意味を考えすぎると、どん詰まる。

とんがり焼?

とんがり鴉?

へーそうなんだ、あははでいいの。

これには何か深い意味があるはず……ないです。

しいていえば最後の文章を書きたいがためにある。

僕は自分の食べたいものだけを作って、自分で食べる。

鴉なんかいつまでもお互いをつつきあっていればいいんだ。

何かの例え話かも知れない。

でも、それはどっちでもいい。

村上春樹は正解を用意しない小説家。

自分でも解っていないことを書いている人。

だから、どう考えてもいい。

俺は何も考えずに文章だけ読みました。

文章を読むだけで十分におもしろいです。

おしまい。