緑色の獣を読み終わった。
世界の中心で愛を叫んだ獣、虚空に消えゆ。
地面の中から這い出してきた緑色の獣は女に求婚する。
自分の思考が獣には読めると解った女は、あらゆる残酷なことを想像する。
獣はやめてくれと言うが女はやめない。
獣は少しずつ消えていく。
最後に残った目玉も、お前の存在はもうすっかり終わってしまったのよと言われ、消えてなくなる。
夜の闇が音もなく部屋に満ちてきた。
ー完ー
ひたすら獣が可哀想なだけの話である。
女は残酷なので身を守れたともいえる。
まぁ、害のない獣ではあったのだが。
村上春樹の小説はすっきりしないものも多い。
後味が悪い。
こういう小説を若者に勧めていいのだろうか。
ねじまき鳥クロニクルなんてこんなもんじゃないが。
もっと害のないすっきりした短編はいくらでもある。
特に意味もないしね。
意味もなくすっきりしない。
嫌じゃない?
もやもやしない?
女とは残酷な生き物であり、叩いてもいい弱者であれば存在を消すほど怖ろしくなれる。
そういうことですか。
全部、夢なのかも知れない。
そもそも緑色の獣なんてものが地面から這い出してくる訳がない。
持て余す残酷。
何かを徹底的に叩きのめしたい気持ち。
それが緑色の獣を生んだ。
夢の中で痛めつける。
満足し目覚める。
もう夜が部屋を満たすほど長い夢だった。
求婚してくるほど自分のことを好きな奴を痛めつけるというのが残酷ですね。
いや、残酷。