何か不平を云いたげな唇が明瞭に映った

三島由紀夫の『愛の渇き』を読了。

描かれているのは、愛の無情と限りない堕落。

ニュースでも恋愛の縺れで殺人なんてのは目にするけど、そんなに刹那的に生きるなよ・・・と思う恋愛未経験者。

まー世の中には男と女しか居ない訳で、酸いも甘いも恋愛の中に全て詰っていると言えなくも無いんだろうがねぇ。

悦子と良輔の死別のくだりは、文学史に残る名シーンだったな。感銘を受けた文章は声に出して読む癖があるので、何度も音読した。

三島の文章は素晴らしい。読むごとに惚れ込む。

おそらく、十代最後の小説かな。ズッコケなどの児童書を読んでいた頃を考えると、今純文学を読んでいることに時の流れを強く感じる。

昔の名作や純文学を、無闇に敬遠していた時分もあったもんよ。

これは〜で、あれは〜だ、みたいな先入観は視野狭窄に陥るだけだから止めよう。