2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

淡雪

好きという感情も、今ある肉体も、すべては消えていくというのに。初めから何も存在しなかったかのように、この世界から消滅してしまうのに。いつか消えるなら、存在に意味はあるのか?発生と消滅は同義だ。淡雪に生まれれば良かった。人の一生は長すぎる。

他の誰でもなく

個性というお洋服は、何て邪魔なんだろう。皆と一緒が一番楽なのに。全く同じ人間が存在しないという事実は、底知れぬ孤独のようでもあるが、宇宙から蒔かれた希望のようでもある。孤独。希望。私は誰?他の誰でもなく――――

真夜中の渚

波のように、不安は押し寄せる。懸命に築き上げた砂の城を、少しずつ浸食していく。月はただ闇を照らす。真っ白な雪は失ってしまった何かを思い出させる。星々は遥か遠い光を届ける。めぐり続ける、悲しみの歌。この宇宙が最後に見る夢が、どうか幸福なもの…