世間というのは、君じゃないか

太宰治の『人間失格』を読了。

ダメ人間による、ダメ人間の為の文学。

通算で五回は読んでるかな。初めて読んだ大人向けの文学でもある。

十代の頃は共感できる部分が多かった。いや、多分今でもそうなんだろうけど、21の感覚としては「ん?」と思うところがないではない。

誰しもが通って来る、迷いや不安や怖れ。そういう気持ちに対して「君だけがそう思っている訳じゃない」と感じさせてくれる。それが太宰の良さ何だろう。根暗な奴は皆読んでる。もちろん私もだ。

でもいつかは、前向きに生きていくことを決意しなきゃならない。ある意味それが、大人になるということなのかもしれない。

人が怖くても、人は人から逃げられない。それが真理だと気付いた今は、少しこの小説に距離を感じた。

でもまぁ、人間合格な人間がどれ程いるんだ?って話でね。大多数は人間失格なクズばかりだろ。私を含め。

人間合格の称号が欲しいような、欲しくないような。だいたい、そんな聖人君子になれるのかい?

人間が解らなくて怖ろしいなら、むしろ積極的に人と関わっていくんだ。そうやって生きていけば、少しは何かが解ってくるかも。