俵万智の『サラダ記念日』を読了。
既成の短歌を塗り替える、新しい時代の意欲作。
“捨てるかもしれぬ写真を何枚も真面目に撮っている九十九里”
“「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ”
“「嫁さんになれよ」なんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの”
“我もただ「ヒト」とのみ記されて人体見本になりたき夕べ”
“今日まで私がついた嘘なんてどうでもいいよというような海”
“いつもより一分早く駅に着く 一分君のこと考える”
“親は子を育ててきたと言うけれど勝手に赤い畑のトマト”
“約束のない一日を過ごすため一人で遊ぶ「待ち人ごっこ」”
“「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日”
“愛された記憶はどこか透明でいつでも一人いつだって一人”