差取れません

ヒーローをヒーローたらしめているのは、平凡な脇役あってこそ。

悪がなければ、善が何かも解らない。

醜がなければ、美が何かも解らない。

AとBに差を感じることで、人間はそこに価値や意味を見いだす。

相対的でなければ、何もかも真っ平ら。

けれども人間として生きていく以上、積極的に差を付けて差別化を図り、価値や意味を見いだすことを強いられているともいえる。

わざわざ苦しみの元である差を、自ら増やし続けなければならない宿命。

その差を取っ払ってしまうことが、悟り(差取り)ということだ。

とはいえ、世捨て人になる訳にもいかないしな。

真っ平らに成れぬ凸凹な日常を、何もかも引っ括めて楽しむしかないか。

その楽しさでさえ、苦しみがなければ理解して感じることも出来ないのだから。