猛獣使い

やっぱり、真っ当に生きようとすればするほど戦いたくなる。

こんな不条理なことが、許されていい訳がないからな。

精神を正常に保つには、事実と距離を置いた方がいい。

テレビのニュースや新聞は、流し読みで十分だ。

無理に蓋をしようとすると、それはただの現実逃避で、余計に苦しむことになる。

だから遠目で確認して、その上で端へのけておく。

不確定なものを、不確定なままにしておかない。

そうでないと、いつお化けの時間が始まるか解らない。

負のエネルギーは、見えない所で大きなる。

見張れる位置に配して、慣らしてしまった方がいい。

慣れれば、そこに在っても在ることさえ忘れる。

いつ置いたかも忘れた、自室のインテリアと同じ。空気も同然になる。

恐怖は思考や記憶の死角から攻めてくるから、死角は作らない。

不穏な個所は敢えて覗き込んで、そこに何が在るか把握しておく。

トラウマも覆い隠そうとすると、フラッシュバックで襲われるからな。

人間は逃げ切れんのですよ、対峙しない限りはね。

事実は事実として認め、躾の悪い狂犬を時間をかけて飼い馴らしていく。

飼い馴らしが完了すれば、事が起きても戯れに過ぎなくなる。

何かの拍子に噛み付かれても、柔和な甘噛みで怪我の心配はない。