文学の話

ノーベル賞の中で、特に文学賞は軽んじられている感があるよな。

自然科学の賞に比べて低く見られるのは解らないでもないが、自然科学だけが人を救い、人類のために貢献する訳じゃない。

文学ってのは、魂や精神の救済なんですよ。楽して生きてる奴らには関係ないかも知れないが、文学があることによって、死ぬことを思い留まったり、新作を期待して生きようと思ったり、進み出すことを躊躇っていた人が、新しい一歩を踏み出せたりする。

医療や科学が人間の肉体を救えても、その精神までは本当の意味で救えていない。

よく言うよな、文学や芸術や音楽で、腹がふくれるのかって。辛く過酷な現状の中で、何の役に立つのかと。だからそんなものに意味はないんだって。でもさ、人はパンのために生きるのか?パンのためだけに生きられるのか?

もちろん人間に食料は必要だ。けれども、それだけでは満たされない領域がある。心の深い深い場所で、孤独を抱えながら震えている存在に、手を差し伸べなくちゃならない。

その役目の一端が、文学なんだ。

小さな小さな僅かな光かも知れないが、光のある場所には必ず希望が生まれる。望みが完全に絶たれた状態で、人は生きていくことが出来ない。それを絶望という。

微かな光でもいい。人間には希望の種が必要なんだ。

人間が生きていくことの一助に、必ず文学はなってくれる。