マリンスノウ

おかしいな、宇宙へ行くのは怖くないのに、深海に行くのは怖ろしい。

宇宙で死ぬことは怖くないのに、深海で死ぬことは怖ろしい。

無限に広がっていく宇宙に比べて、限りがあるのに底がないようにすら思える深海の方が怖い。二度と戻れない深淵に潜っていくように思える。

あとあの潜水艇の窮屈さもダメかも。俺は若干、閉所恐怖症のきらいがある。病院でなんかの検査をしたとき、棺桶に閉じ込められたような恐怖感にさいなまれて軽くパニックになった。気が狂いかけた。
 
そうなんだよな。棺桶に閉じ込められて、深淵にゆっくりと沈められていくような恐怖感がある。それは他のなにとも違うとくべつな恐怖感だ。遥かな時、永劫にも等しき時間が深海では流れる。いつか辿り着く深海の果て。その一番底に、俺だけがいる。なにもみえない。深淵そのもの。凍り付くような闇。

・・・書いているだけで呼吸困難になる。

海は好きなんだが、それと同時に恐怖の対象でもある。浅瀬で遊んでるぶんにはいいけど、少しでも足がつかなくなった時点でものすごい恐怖を感じはじめる。俺の中でそれは死と直結している。ましてや深海・・・ゾッとする。

よく晴れた夏の日、きれいな海をみたい。海は眺めるだけでいい。