他人行儀

過去の自分はどんどん他人になっていく。

他人と同じことはできないし、他人と同じことは考えられない。

思い返しても、なぜ過去の自分はああだったのか思い出せない。他人の思考だから。

記憶は他人の寄せ集め。その先頭に今の自我がある。

頼りの記憶は他人行儀。すがりつくよすがもない。

自分というものはどんどん切り離されていく。

どこにも寄りかかれない孤独な存在。

広い宇宙の中でたった一人、あてどもなく浮かんでいる。

今は今しかない。

今にしか生きられない。

過去はないも同然だし、振り返っても虚無しかない。

消えていく、過去のなにもかも。

過去の自分には戻れない。

なにはともあれ、今だけに集中して生きるしかない。