何者でもない

凄いな『ねじ巻き鳥クロニクル』は。読むの3回目だけど、それでも面白い。ただこの小説を読んで面白いと感じる人はそんなにいないんじゃないかな。村上春樹は自分の代表作だと思っているようだし、個人的には彼の作家人生における大きなマイルストーンだと思うんだけど、あまりにも人を選びすぎる。三部作でめっちゃ長いしね。だから人にはお勧めしないし、村上作品を読み進めていく上でも最後まで残しておいてもいいんじゃないかな。とはいえ記憶が確かなら『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』に続き2番目に読んだはず。その時は特別読みにくいとも逆にさほど面白いとも思わなかったかな。ふーんこんなもんかって感じ。次に読んだ『海辺のカフカ』で村上春樹にドハマリすることになるので。

何者でもない孤独を抱えた人間だけが必要な小説だ。人生が順風満帆な人は別に読む必要はないし、読んでも面白くないと思う。

ぼんやりとした不安を抱えた人間だけが必要な小説だ。明日に不安を感じない人は読む必要はないし、読んでも面白くないと思う。

ほんと不思議なんだ。何なんだこの小説は。ちなみに今回、わざわざハードカバーで新品を買って読んでます。それくらいしたくなる謎の魔力がある。

この魔力に取り憑かれたら、もう村上春樹中毒よ。

そのうち文体まで似てきちゃうし、まったくやれやれ。

似てるけど、どこか違う

葬式で若菜さんの職場の近くまで行ったけど、当然のように何もなかった。そりゃそうだよな。あの人やっぱり、俺の人生に何の関係もない人だったんだろうか?あれだけの衝撃があり、2年以上忘れられなくても?

最近はカナさんと話すのことが楽しくて、少し忘れそうになる。完全に忘れた日はただの一日もないんだけどさ。カナさんも変わってると思うけど「私、普通の女の子なんで」発言があったので、普通の子なんでしょうね。たぶん。何がどう普通なのか知らんけど。変人ばかり好きになる俺としては、牽制を仕掛けられた感じだ。

普通/変人。何が違うんでしょうね。俺は感覚で解る。少し話せば解る。

変わっている云々というより、俺と近い周波数を感じる。「あ、似てる」って思う。それを俺は勝手に自分と紐付けて変人呼ばわりしている訳だが。申し訳ないね。勝手に同族扱いしてしまって。でも俺はそういう区分けしか出来ないんだ。

普通は普通として厳然と存在する。所詮は社会の平均値に過ぎない訳だが。

でも普通の人って面白いかね?俺は少し変わってるくらいが好意を持ちやすい。

平均値に近付くほど、のっぺりとしたつまらん人間に感じる。

ああ、でもカナさんは俺だけのもんじゃない。あの子は何だか知らんが男女問わずグイグイ突っ込んでいくタイプなので、俺もその中の一人に過ぎない。話した総時間は俺がダントツかも知れんけど。カナさんが俺だけを特別に思っている可能性は低い。そもそも結婚願望の強いカナさんと結婚しない宣言をしている俺じゃ噛み合ってない。残念だけどさ。まぁ、人生そんなもんだよね。

無題

人間なんて、あっけないものですね。

死ねば終わり。それがよく解った。

それを解ってはいても、この先も生き続けなきゃならない。僕らは誰しもゆっくりと死んでいく。それは今この時も続いているし、それが留まることはない。

身も心も棘々

恋愛の悩みなんて、左手の小指に棘が触れた程度のもんだ。

それを大げさに痛いという人間にとっては、本当に痛いんだろうな。俺は痛くないけど。

というか、それより大きな問題が多すぎるので相対的にどうでもいい部類の悩みになってる。恋愛のこと色々書いてるけど、別に悩んじゃいないのさ。遊びと同じだから。趣味だってちょっと苦しいことはあるし、それを乗り越えるのもの醍醐味の一つ。そういうのと変わらない。本質的な悩みや苦しみではない。