何者でもない

凄いな『ねじ巻き鳥クロニクル』は。読むの3回目だけど、それでも面白い。ただこの小説を読んで面白いと感じる人はそんなにいないんじゃないかな。村上春樹は自分の代表作だと思っているようだし、個人的には彼の作家人生における大きなマイルストーンだと思うんだけど、あまりにも人を選びすぎる。三部作でめっちゃ長いしね。だから人にはお勧めしないし、村上作品を読み進めていく上でも最後まで残しておいてもいいんじゃないかな。とはいえ記憶が確かなら『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』に続き2番目に読んだはず。その時は特別読みにくいとも逆にさほど面白いとも思わなかったかな。ふーんこんなもんかって感じ。次に読んだ『海辺のカフカ』で村上春樹にドハマリすることになるので。

何者でもない孤独を抱えた人間だけが必要な小説だ。人生が順風満帆な人は別に読む必要はないし、読んでも面白くないと思う。

ぼんやりとした不安を抱えた人間だけが必要な小説だ。明日に不安を感じない人は読む必要はないし、読んでも面白くないと思う。

ほんと不思議なんだ。何なんだこの小説は。ちなみに今回、わざわざハードカバーで新品を買って読んでます。それくらいしたくなる謎の魔力がある。

この魔力に取り憑かれたら、もう村上春樹中毒よ。

そのうち文体まで似てきちゃうし、まったくやれやれ。