生れて初めて化粧したる顔、花嫁の如し

川端康成の『伊豆の踊子』を読了。

『雪国』で初めて川端作品を読んで、美しくはあるがそこまで響かないかなぁと感じ、前回からだいぶ間が空いた。今回が二作品目。

なんというか、独特だな。他の誰にも文章が類さない。かといって特異な訳ではない。

短編集の前半は前回の感想を引きずるが、後半の『抒情歌』『禽獣』辺りから世界観に引き込まれて行き、最後には「これは凄いな・・・」と思うに至る。

何だろうな、やっぱこれが文学なんかなぁ。実に美しい・・・。

やっぱ作家の評価は、最低でも五冊は読んでからじゃないと下しちゃダメだな。最初に読んだのが悪いから全部悪いとも限らんし、その逆も然り。

他の芸術と比べて文学は何が素晴らしいかって、確実に作者の意図した通りに伝わるところなんだよな。

絵画は実物を見なければならず、音楽は実演奏を聴かなければならない。画集やCDで代替は出来るけれど、それだと完璧じゃない。

文学は若いうちに読んでおきな。歳食ってからじゃ意味無い。