詩でも書きましょうか〜その3

去り際の笑み

ねぇ どうして本当のことを言ってくれないの?
そんな単純な嘘に あたしが気付かない訳ないじゃない
ねぇ あなたに何か悪いことしたのかな
これが罰なのだとしても 理由が知りたいよ

あなたが後輩の女の子だって紹介してくれた人 
あたしよりずっと綺麗だったけど・・・

もう あなたの瞳にあたしは映らないのかな 
ただの背景としてしか見えないの?
精一杯 あなたの気を引こうとしていたことが昨日のことのよう
もう あなたの耳にあたしの声は届かないのかな 
ただのBGMとして聞き流されてしまうの?
どうすれば あなたに笑ってもらえるのか それだけを考えていたのにね

この公園に来ると あの日のことを思い出すの
鳥の声しか聞こえない日曜日の午後 ベンチに座って
あたしの髪が あなたの頬にふれた時
優しい女の子の匂いがすると 言ってくれたこと

世界中であたしだけが こんなに幸せで良い訳がなかったんだよね・・・

いつもと変わらない休日 
出かけようとするあなたに「どこへ行くの?」と訊いて
「うん、ちょっと」って答えた時 なぜだか零れた笑み
それ以上何も訊けなくて 「早く帰ってきてね」とだけあなたに言った
ドアが閉まる音を聞いた時 
何かが終わってしまったんだと 涙が一粒膝に落ちた

ドアを開けても待っていてくれる人はいない 
あなたが弾くギターの音も聞こえない
真っ暗な部屋の隅で膝を抱え 顔を埋めて泣く 隣の部屋では笑い声
カーテンの隙間から月明かりが一筋流れ あたしの頬を照らす
微かに開いた唇からそっと 消え入りそうな声で歌うラブソング