詩でも書きましょうか〜その5

歌の続き

世界を音楽で変えられると本気で考えていたころ
鳴らしていたギターを倉庫の奥から引っ張り出して
埃まみれのそいつを抱えアイツ等のもとへ走った
それぞれの愛器は確かにくすんじゃいるけどさ

ピックが無くたっていいよ お前の手は昔のように弱くない

あのころ途中で歌うことを止めてしまった やたらに大きな歌の続きを今から歌うよ
愛の何たるかすら分からずに歌っていた曲を
怒りや不安を音符に乗せて ただ必死にかき鳴らす 
あのころとは違う俺たちが 今だからこそ歌える気がするから

馬鹿だと思われようが無意味だと思われようが
愛と平和を叫ぶのがロックの役割なんだよ
叶わない願いを世界に向けて歌い続ける
届かない祈りを空に向かって歌い続ける

楽譜の指示記号なんていいよ お前の眼は多くの機微を見てきた

凍りついた情熱は死んでしまった訳じゃない 誰かの発する熱にふれて眠りから覚める
何だって出来ると思わせてくれた情熱が
迷いや悲しみを音の葉に乗せて ひたすらにかき鳴らす 
年を重ねた俺たちが 今でしか出来ないやり方で

ピアノもヴァイオリンも フルートもトランペットも入って来い
手拍子や口笛でも何だっていい
感情は音になる 音になって飛んでいくよ彼方までも
この想いよ どうか世界中へ響け