スパルタの狐

桜庭一樹の『少女には向かない職業』を読了。

漠然と思い描いてた物語と全然違かったな。ミステリ系だということに途中で気づいた。ま、いわゆる推理小説の類ではないが。

最近は古くて堅いのばっか読んでたから、少女の一人称文章は軽くカルチャーショックだった。

漱石の三部作とか読んでたからねこの間まで。時間旅行者の気分。

別に現代小説が嫌いな訳ではないのだよ。ただ、当たり外れが激しい。

今回が外れだったのかといえば、一概にそうだとも言えんのだが。でも何か、全体的に説得力が薄かった。

日常パートの笑いは悪くない。しかし、肝心な物語の主題に「うん、そうだね」とはどうしても思えなかった。“共感”って奴は評価に多大に影響するかんね。

初めからミステリだと知ってたら読まなかったかも。何度でも言うが、人が死ぬ話は素直に楽しめない。記号化されすぎなんだよ死が。

悲しい話は嫌。娯楽作なら特に。

泣き>笑い、の図式はおかしい。人を泣かすより、笑わす方のが難しいんだよ?・・・ああ、だから出来ない人のが多いのね。

クドカンなんて、そう考えると素晴らしい才能だよなぁ。彼は物書きとして超一流。