長野へ。
十年ぶりくらいかな?家族全員で遠くまで行くの。そして多分、これが最後になる。
我が強くて、我儘で、こういうことにならなきゃ団結できない家族。でも、そうなれつつあるんならいい。変われてるんならいいさ。
疲れてると、プリミティブなものに触れたくなるんだ。海、山、きれいな空、やわらかい風。そういうものに。
ほとんど寝てた。車中も着いてからも。昼夜逆転してる生活サイクルのせいもあるし、前日が花火大会で疲労がピークだったのもある。
寝て寝て。旨いもん食って。美しい景色を見て。きれいな空気を吸って。久々に生きてるって感じがしたもんだ。
私はこの大地に立って、確かに生きている。
親父の肩を揉んだ。多分、生まれて初めて。
そして――この先への、一つの取っ掛かりを掴んだかもしれない。
整体師。私は元々、ツボに興味があったし、自分自身も整体で救われた者の一人だ。
数多なる感情が浮かんでは消えた、そんな一泊二日。