月が綺麗

生まれて来る訳も。

死んでいく訳も。

大事なことは、いつも解らないまま。

何一つ解らないから、人は正しさを定義して安心しようとする。

社会が作ったルールが、いつも人を不自由にして。

窮屈な箱の中へと、無理やり押し込まれる。

僅かに開いた穴の中からしか、世界を覗き見ることを許されない。

管理された価値観の中で、私達は日々朽ちていく。

もう、止めよう。

私は、思考の螺旋から降りよう。

夜空に浮かぶ月が、綺麗だった。

美しさにも、醜さにも、理由は無い。

美醜を決めているのは、人の心に過ぎない。

月はただ、闇夜に浮かんでいる。

暗闇で迷える者の、心さえも照らしながら。