有り余る千両箱

昔は、欲しいものが沢山あった。

とにかく、金が欲しかった。

今思えば、僅かな金額に一喜一憂していた。

時は経ち――――

自分で金を稼げるようになり、かなりの額まで自分で扱えるようになった。

でも何故か、虚しさだけが募る。

何を買えたとしても、何処へでも遊びに行けたとしても。

心が、からっぽ。

何を得ても満たされない、不治の贅沢病。

本当に欲しいものは、いつだって金じゃ買えない物ばかり。

札束など、価値を具現化しただけの紙切れに過ぎない。

莫大な富を得ても、心が満たされなければ何の意味も無い。