空白を埋めよ

千言万語を以ってしても、心の空白が埋まらぬのなら――――

何が満たしてくれる?

ぽっかりと、大きな穴。

こんな心は、ドーナッツにして食べてしまおうか。

感情が無いことの自由と、感情が在ることの不自由。

眼に見えない沢山のものが、私を縛り付ける。

不可侵の精神領域にまで、抑圧の波は押し寄せる。

全ての事象は、無へと収斂していく過程に他ならない。

いつかを待たずとも、眼を閉じるだけで世界は無と成る。

そして眼を開くだけで、世界は無からまた始まる。

終わりへの畏怖と、始まりの歓喜は、絶えず自分の中に存在している。

・・・。

空白でも、良いではないか。

美しい色など無い、驚嘆させる色など無い。

造形と色彩を、一切放棄する。

それもまた1つの、芸術の形。