光の届かない海の底で、本当の話をしよう

見えるから、存在しているとは限らない。

見えないから、存在していないとは限らない。

物足りない、物足りない、何もかもが物足りない。

この世界は、所詮この程度なのか?

それとも自分が、世界を全く測り切れていないのか。

両手を広げただけの物差しで測るには、どうにも世界が広大すぎる。

限られた五感の中でしか、何もかもを知覚できない。

本当は――――

私は気付いていないけど、本当は。

ほんの少し手を伸ばすだけで、心から望むものに手が届くのだとして――――

そんなことは露知らず、私は不平不満を繰り返す。