心残り

死ぬべき理由は、山ほど在っても。

生きるべき理由は、片手で数え切れるほども無い。

私にしか出来やしない事は、皆無。

特別な生産性を、有した人間じゃ無い。

生きるべき理由は、ごくごく個人的で、限定的な事柄に限られる。

誰かにとってでは無く、あくまでも私にとっての意味としてだが。

誰かの意味に成れるほど、大した人間じゃない。

・・・。

静謐が支配する無の空間に、微かな火種が在る。

完全には消えず、私の中で生き長らえる火。

火は大きく成ったり、小さく成ったりを繰り返す。

稀に、ごくごく稀に、本当に大きく燃え上がる。

たった1つの僅かな心残りが、確かな生きていく理由にすり替わるほど。

自分自身の感情と、真剣に向き合う事ほど辛い事は無い。

他人によってだけで無く、自らで己の傷を深くする事だって在る。

冷や水をかけて鎮火してしまった方が、遥かに楽に成れるが。

同時に生きる意味も、消滅する。