久々に私は、満たされている。
個人的な幸福は、いつでも。
ひどく個人的な出来事により、個人的な範疇で静かに完結する。
この瞬間、他の人間達など私にとって何の意味も成さなくなる。
読書はいいものだ、心底そう思った。
どこへ行くにもその本を持って、続きを読む。
読むのが楽しく、続きが気になって眠れない。
起きたらすぐに、水も飲まずに続きを読む。
私がかつて、物語に魅せられていた時の感覚が蘇って来た。
自分もこういう物語を書きたいと思い、ノートの空きページに鉛筆で記した。
自分だけの物語を、自分だけの言葉で紡ぎ始めた頃の感動。
震えた。
身も、心も。
死ななくてよかった、こう思ったのはいつ以来なのか。
とにかく私も、見つけ出さなくちゃならない。
情熱のゆくえを、確かめに行かなくちゃならない。
生きることに、一抹の意味さえ無かったとしても。
私だけが確信できる何かを掴めれば、他には何も要らない。