大体のことは、どうでもよくなって来た。
しかし、未だに引っ掛かっているものも在る。
どうしていつまでも、あいつが脳裏に浮かぶんだ・・・。
好きだった女を先に取られたのを、根に持ち続けてんのか。
それもある、確かに。
でも、それだけじゃない。
仕事面では、圧倒的に向こうがマジョリティだった。
私のやり方や考え方を認めてくれる人達はいたし、高く評価してくれる人もいた・・・それもまた事実だが、しかし根本的な意味合いに於いては、多数派の連中とはずっと平行線を辿り続けた・・・最後まで。
それぞれの思う正しさが、あまりにも違い過ぎた。
これは世の中に蔓延する、二極化がもたらす弊害の縮図に他ならない。
正しさの盲信の最たるものは、戦争。
物事のサイズは違えど、世界のどこへ行っても人は同じことをやっている。
結果的には、そういうゴタゴタでこれ以上神経を磨り減らすことに嫌気が差し・・・私を取り巻く環境の全てで起こり得る争いから、身を退くと決意する事となる。
だからまぁ、これで良かったんじゃないかな・・・そう思うしかないっていうか。
この先、争いに巻き込まれそうになっても、「知らんがな」で通す。
面倒なことには一切関知しない、首を突っ込まない。
私のあずかり知らないところで、勝手にやって頂けるかしら?っていう。
ほんっと最近になって、私は落ち着いて来たけど・・・あの親父がそうであったように、私もまた生きるってことに対する気合いの入り方が半端ない・・・これじゃあ、積極的に寿命を磨り減らすようなもんだって。
手を抜けないんだよ、良くも悪くも・・・あらゆる事柄に対して。
こういう生き方はもう、平成の世じゃ受け入れられない。
八方美人で要領のいい奴らだけが、スイスイ渡り歩いていく時代だよ。
悪いけど親父を反面教師にして、私は気を抜いてこの先を生きていく。
言葉の交わし合いや、精神的なやり取りを越えた物事が起きた時・・・物理的に私に危害を加えようって輩がもし現れたら、その時は容赦なく叩きのめすけどな。場合によっては、生まれて来たことを後悔して貰うような事態にも成りかねない。
元来ガッチガチの保守論者である私が、夢見がちな平和論者である訳が無い。
なるだけそういう事態に発展するのは、避けたいがね・・・。
眠れる獅子は、この先もずっとずっと寝かし付けておいて下さいよ。
今までのあれやこれやを、私が心の底から許したと思ったら大間違いだ。
でもこのまま、平穏で何事もなければ・・・いずれ怒りの念は砂粒ほどに小さくなって、プチンと潰して消えて無くなる日が来るのかも知れない・・・。
そんな日が、いつか。