この空も、あの海も、いつか終わってしまうものだと思えば。
悠久の時でさえ、やがて無の中に消えていく定めなら。
この世界に永遠を約束するものなど、ただの一つもない。
その今は美しい何かも、やがて醜く朽ち果てるなら、意味があると言えるのか。
いや、意味などない。初めから意味などない。宇宙が開闢した時から意味などない。
意味を与えるから、失う時に苦しみが生まれる。
意味などない。意味を置く必要などない。
全ては、色即是空なのだ。
色を持たない、空っぽの世界。
けれども、空即是色。
実体はないのだけれど、確かにそこには色があり、手触りがある。全ては単なる虚構のハリボテに過ぎないが、色彩豊かな世界があると認識できる。
何にもないけど、何でもある。何でもあるけど、何にもない。
この世は夢のようなものだ。
知らないうちに始まり、知らないうちに終わる。
泡のような生涯。
泡が生まれ、泡が消えたところで、そんなものは誰も気に留めない。