コミュニケーションの話2

この前、12時間も一方的に話をされた挙句、「話を一方的にし続けるのって、疲れるもんだな」と言われた時は、さすがに縁を切ろうかと思った。

仮に心の中でそう思ったとしても、口に出して言うべき言葉は「今日は長々と自分の話を聞いてくれてありがとう」だろうよ。

その某と本当に縁を切ろうかどうかは目下思案中である。

これが仕事ならいいんだけどね、「話を聞く」ということを専門的に行うビジネス。カウンセリングのように問題点を炙り出すというようなことはせず、あくまでも「話を聞くだけ」に留める。

肉体も精神もボロボロの私にとって、喋る、聞く、書くというのは私に出来る最後の砦であって、このどれかで食えれば言うことないと思っている。

世の中に、話をするのが嫌いな人間というのは、ただの一人もいないというのが私の見解である。面と向かって人と話すのが苦手だとしても、相手の見えない匿名のネット空間では雄弁に語り、ペットの犬や猫には楽しげに語りかける。そういう人は多いだろう。

結局、自分が気負うことなく自由に話せるのなら、本当は話したい人間ばかりなのだ。

つまり、喋るばかりの人よりも、話を聞いてくれる人の方が遥かに需要がある。

そして上手に相手の話を聞ける人こそ、真にコミュニケーションの達人であると言えるだろう。

一方的にベラベラと話をすることなど、誰にでも出来るのだ。

相手の引き出しを全て開けさせ、塵一つ出てこないほどに空っぽにする。それこそがコミュニケーションマスターの仕事だ。