あの日君が飲み込んだ言葉、いつか聞かせてよ

私は今まで生きてきて、あんなに露骨に独り言を呟いた人を初めて見たんだけども、声量があまりにも小さすぎて全く聞き取れなかった。二言三言は何かぼそぼそ言ってたんだが、こっちも気まずい事情があって本当のことを言えないんだなってのは解ったから、それについて言及はしなかったけどね。ただそのせいで、あの時に本当は何が言いたかったのか解らずじまいになってしまった。それが心残りだ。

あんな不思議な人はいない。向こうも私を見てそう感じたかもな。

あの子が運命の人のはずなんだけどな。寧ろ違うならあの子は俺にとって何なんだ。

後にも先にもこんなに人を好きになることがあるか?

寝ても覚めてもその人のことが頭から離れないことなんてあるか?

あの子の名前、一日何十回呟いてる?

何で会えないんだ。

どうすれば会えるんだ。