何でもない顔をして

何でもない顔をして、あらゆることが通り過ぎていく。

誰も知らなかった悲しみ。誰も気づかなかった苦しみ。

流した涙の湖で、いつか溺れて息も出来なくなる。そんな日も遠くない。

人々は、面倒なことは我関せず。知らぬ存ぜぬ。我だけ損せぬ。見て見ぬ振り。

見ざる、言わざる、聞かざる、見栄だけ張って着飾る、欲の皮だけが突っ張る。

手を差し出せば振り払われ、縋り付けば足蹴にされる。

何でもない顔をして、君たちは今日もまた僕の横を素通りする。