誰もいない夜を越えるために、誰かが必要だというのもおかしな話だ。
けっきょくのところ、人は一人では生きていけないという、ごくごく当たり前の解答にいきつく。でも世の中には俺のようにたった一人で生きていくことを強制されている人間もいるわけで、こればっかりはほんとうにどうしょうもない。孤独に震えながら、不安に怯えながら、たった独りで夜を越えるしかない。
孤独。この世でいちばん苦しい精神的な苦痛。それと同じくらい苦痛な退屈。この二つを同時背負わなければならない苦痛。噛み締める奥歯が砕けて血がとまらないよ。そんな精神状態。
生きていたんだよな。生きていたよ?
生きていくんだよな?それはわからない。
先のことはわからねぇ。
いつか孤独が終わる日を夢みながら、眠れない長い夜はつづく。