深淵

ぽっかりと口を開けた深淵が、わたしを食らい尽くす。

そんな夢をみる。

その深淵とは、わたしの内側にある。

心の中の話。

心が食べられてしまう。

心が食べられたら、どうなるのかな。

もう、喜怒哀楽もほとんど消えているのですが。

怒りだけが剣となって、深淵と対峙する武器になる。

勝ち目はない。

怒りもそもそも深淵の中にあったものだ。

深淵の中にはすべてがある。

きれいな色もどんどん混ぜていけば、最終的には黒になる。

そういうことだ。

深淵の闇は、結果的にそうなった。

すべてを諦めて、深淵に身をゆだねる。

深淵とは、わたしそのものであることに気がつくのに、そう時間はかからない。

心は静かに闇に溶けた。