私の怒りにも、あの子の戸惑いにも、理由はあるし客観的に理解は出来る。
頭で納得しても、心で納得していない。
人間とは、そんな単純な生き物じゃない訳だ。
コンピューターのように正確無比で完全無欠じゃないけど、その不完全さこそが人間が人間たる所以でもあるように思う。
陋劣で救いようが無いから、文学や芸術が意味を持つ。
・・・。
すれ違いの理由は端的に言って、加速度的に段階を進めたい私と、少しずつ段階を踏みたいあの子の、考え方の違い。
これは性格が正反対なのを、如実に表している。
だいたい私は――白黒はっきりさせたくて、解り易いのが好きで、せっかちで、面倒なのが嫌いで、ガンガン押し進めたい人間。
あの子は、その逆。
多分、向こうのペースに合わせて、全てをスローに進めていけば、表面的には何の問題も生じないと思う。
思う――が、私の考え方を捻じ曲げてまで、遅々延々と関係を深めていくことを、私自身が了とするかというと――――
まぁ、だからね。
初めからずっと、私は私のことしか考えてないし、見ていない。
私を取り巻く全てに対して、傲慢に過ぎるんだよ。
最近、本当に極々最近になって、ようやく身に染みて解って来た。
仕事での言葉の選び方、振舞い方も、変え始めている。
生きていくことは、取りも直さず学びである。
24歳の私が、今まで得て来た全てを以って、何もかもに立ち向かう。
立ち向かうといっても争う姿勢では無く、勉強をさせて頂くという態度で。
一番下まで、自らの意思で降りることで。
いかに本当の高みが、上にあるか見えて来る。