やっぱり、もっと解り易くする必要があるのか。
今までずっと、解る人だけ解ればいいっていうスタンスを貫いて来た。
私を理解できない連中は、残らず排斥して思考から撥ね除けた。
それでいいのかって言ったら、良くはないわな。
独善的で排他的な人間は、自ずから滅び去る。
・・・。
私は昔から無口な方だった。喋るだけ無駄だと思っていた。
解り合えないのに、言葉にする必要性は無いだろうと考えて来た。
くだらないことで盛り上がってる奴らを、限度知らずの阿呆共と内心で罵った。
――――時が経った。
様々な場所で、様々な人を見て来た。
そして今、思うのは。
軽く道化を演じてでも、人の輪の中に飛び込んでいくべきなのではないか。
輪の中に入って、輪の中で生きていく。
それこそ人が人として生きていく上での、正しい姿なのではないか。
言葉にしても言葉にしても、伝わらない伝わらない。
伝わらなくても伝わらなくても、繰り返し繰り返し。
今なら解る気がする、なぜあの連中はあんなに盛り上がっていたのか。
『わかりやすさ』
それは、言葉の選び方の問題だけじゃない。
もっとプリミティブで、もっとシンプルなこと。
私はもっと、良くなっていける。
それを今、確かに実感しているんだ。