虚無の波

金は、ただの紙切れ。

恋は、ただの思い込み。

何の為に生きて。

何の為に死ぬ。

究極的には、人間が持っている唯一の自由意思は自殺だけ。

自分の意思で、生まれて来た訳じゃない。

病死や事故死で、いつ死ぬか解らない。

生きている間は、ただひたすら他人との兼ね合い。

100人いれば、自動的に1位から100位が決定する。

才能も容姿も努力の伸び代も、自分を構成するものに自由意思は何も無い。

・・・。

半生を、ただ怒りに費やした。

愛などまやかしで、世界はハリボテ。

せっかく作り上げた砂の城は、虚無の波が無慈悲に攫っていった。

・・・。

とはいえ、死ぬのも面倒じゃん?

何か色々、馬鹿みたいじゃん?

全人類の中で自分が最下位になっても、死ぬのは阿呆くさい。

洋次郎は、“気づいたらばビリになってようが、後ろ振り返ってみりゃほら、先頭にブッチギって立ってるんだ”っていう歌詞を書いたけど。

そういう、発想の転換っていうか・・・。

どんな状況からも光を見出せる人間に、なりたいもんだなぁ。

他人が定義したレースの中では依然として最下位であっても、新しく自分が定義し直せば、もはや順位なんて何の意味も持たなくなる。

囚われるんじゃねぇよ、他人が勝手に作った枠組みに。

・・・。

笑って生きていくには、どうすればいいか。

考えればいいのは、それだけなんだけどね。