二度とこの手を放すことはない

村上春樹の『1Q84 BOOK3』を読了。

BOOK1からBOOK3の最終ページ近辺までは、4日くらいで一気に読んだんだが、それ以降は全く気分が変わってしまって仕舞い込んでいた。

内容が途中で面白くなくなった訳じゃない、あくまでも私の個人的な問題。

気分というものは時に、他の何よりも重要なものだ――少なくとも私にとっては。

物語の主題も最近の私の関心事に近いものがあり、それが読み切ってしまうことに対してある種の怖れを感じさせていた部分もある。

数ヶ月ぶりに本を開けば、ユング集合的無意識についてのくだりだしな。

螺旋階段をゆっくりと降っていくように、少しずつ物語は深みの底へと沈み込んでいく。もう戻って来られないほど、深くまで。

毎度のことながら、卓越した発想力と表現力には驚嘆する。

彼の小説を母国語として読めることを、心より感謝したい。