やっぱり嫌い

ほんと嫌い、映画とドラマ。

嫌いな理由は色々あるが、CGを除けば、基本的に映像に映っていることがこの世界で実際に起こったことであるというのが、たまらなく許せないんだと思う。

といってもこれを読んでいる人には何のことやら全く理解できていないと思うので、ちゃんと説明します。

例えばね、何か食事中にケンカが起きるシーンがあったとして、ありがちなのが揉み合いになり食器がガシャーンと落ちて、中の食べ物がぶちまけられるみたいなシーン。それは架空の話ではなくて、本当に起こっていることなんですよ。その食事中にケンカが起きるシーンの演出とかいう死ぬ程どうでもいい理由で、食べ物が床にドチャーとなって捨てられる訳ですよ。私はそれがとても許せない。どうしても。今この瞬間も、餓死でこの世を去る人がいるというのにだ。「ああ、おにぎりが食べたい」と言って、絶望の中で死ぬ人がいるのにだ。

私がマンガとかアニメが好きな理由は、それはどこまでいっても架空の話だから。実際に無駄になった食べ物はない。壊された物はない。泣かされた子供はいない。

千と千尋の神隠しって、割と料理がぶちまけられるシーンがあるのだけど、序盤の方で両親がブタになって、料理がドチャーってなるシーンは本当にゾクゾクするし、衝撃的でいい演出だと思う。それはやはりアニメという架空の世界だからこそ素直に許容できる訳で、これがもし実写だったら怒りでそれどころではない。映画を楽しむことなど全く出来ないだろう。

食べ物に限った話ではなくて、そうやって色んな理由で色んな物が無駄になったり、子供を泣かせたりきわどい台詞を言わせるのが許せない。どうしても許せない。

とはいえ、私だってたまにはドラマも見ますよ。NHK大河ドラマは絶対に見るし、クドカン脚本のドラマも見る。

でもお涙頂戴ばっかりだから、昔は大好きだった物語というものがどんどん嫌いになっていくし、これから先は本当に限られたものだけしか見ないだろうな。そもそも興味がないんだから。

記録写真以外の写真が嫌いなのも、まぁ理由としては似たような感じかな。子供の成長写真とか、旅行の写真とか、そういうのはいいと思いますよ。誰かも言ってましたけど、写真は思い出の付箋なので。

だからまぁ、私は芸術全般が本当は嫌いなのかも知れない。基本的に表現作品というのは全て好きなんだけど、何かそこに私の超個人的な思想が入ってくると素直に楽しめなくなる。

昔は本当に、物語も表現も大好きだったのになぁ。

でもそれは、私が無邪気で純粋だったからだろう。もう私は子供には戻れない。あの感覚には引き返せない。薄汚い大人になることでしか、私は生き延びる術を知らない。

苦しい思いをすればするほど、色んなことが許せなくなってくる。

結局のところ私の結論としては、身一つで人を笑わせたり楽しませたりすることに一番価値があって、後はホントどうでもいいって感じかな。他は凄いこと尊敬すべきこと高評価を与えて然るべきことだって思わないし思えない。

自分自身がエンターテイメントの塊になる。それが究極なのです。

語る言葉で花が笑い、立ち居振る舞いで風が歌う。私はいつか、そういう人間になりたい。