無才苦

文系なんて言葉が間違いだらけでも許されるのに、理数系は絶対に許されない。

私は昔から理数系の科目が大嫌いだけど、そういう厳密なとこは割に好き。

感情や感性や感覚は曖昧なものだが、理数系が標榜しているものは全く曖昧ではない。

とにかく柔軟に生きなきゃとは思うんだけど、昔から頭が固くて曖昧なことを許せない性質だったから、ほんと理数系の才能が欲しかった。どこまでも厳密に、どこまでも正確に、どこまでも真理を追究したかった。

文系の才能なんて要らん。何より金にならん。理解できない輩には一生理解できない領域のお話だし。

ガッツリ理数系で、学者にでもなりたかった。ずっと研究だけしていたかった。そういう人生が良かった。

この世は、才能のない人間に対して無慈悲だ。

この世は、金を稼げない人間に対して無慈悲だ。

天からはただ苦しみだけが降ってくる。

際限のない悲しみだけが吹き抜ける。

君は本当に才能を持てない人間なんだね。

持てない人間は、無才苦だ。