黄色い花の女の子

初めて会った時に光り輝いて見えたことについて、ギリギリ合理的に理解できるのが、相手の子が発色のいい黄色い服を着ていたということ。

人にはそれぞれ持って生まれたテーマカラーというものがあるとして、自分ではそれを青だと思っている。確か初めて会った時もそれなりに青づくめだったと記憶している。一年前の9月なら、多分いつもの青いシャツを羽織っていたはず。時計の文字盤も青(ちなみにそれは彼女に一回見せた。時計がないと言うから)、あの時は靴も青だったはず。ある時期からずっと青の靴しか履いてないし。

彼女のテーマカラーは間違いなく、黄色。

今までは青の他にオレンジが好きだったんだけど、いや今も好きではあるけど、物凄く黄色が自分の中に入ってきている。昔付き合いたいと思っていた女の子と食事に行った時「私はオレンジが好きなんです」って言われて、そういや何であの時に「俺もオレンジが好きだよ」って言わなかったんだろって急に思い出した。結局、その子と付き合うことはなかった。

運命の人と出会う目印の色が、実はオレンジではなく黄色だったってことなのかな。じゃあ何で最初から青と黄色が好きじゃないんだよって話だが(笑)

今までは全く意識していなかった色を、急に意識しだす。そういうことに深い意味があったのか?

私はオーラは見えないんだけども、黄色はひょうきんな人を表す色だったと思う。私は割とすぐにあの子がユーモアを意識していることに気づいた。それは自分もユーモアを大事にしている人間だからでもある。ああ、この人も自分と同じ考え方の人なんだって思った。たぶん、周りからは面白い子とは思われてないっぽい。真顔でしれっと面白いことを言うから割と普通に流されてそう。結構、自分もそういう扱いなところはある。でもそれでいいと思ってる。だって人を楽しませたり笑わせたりするのに、ボケやツッコミなんて不要だから。普通の話を普通にしているだけなのに、なぜかあいつと話すと面白いんだよなーって思って欲しい。それが理想。あくまでも自然に心地よくいい気分でいてもらいたい。丁々発止のボケとツッコミ合戦がしたいというのなら、それはそれで望むところだが。

あの子が明確に一個ボケたなぁって思ったのは、車中で男性社員が「タバコを吸いたいと思ったことはあるの?」って彼女に訊いた時、全く即答せずめっちゃ間を取ったあとに「ないですね」って言ったのは、あれは絶対にボケだよなぁ?私はよっぽど「溜めたなーおい」って言おうかと思ったけど、まだそんな関係性になっていないから普通の発言として流し、何でもない顔をしてたけど。マジで走馬燈でも見てたの?って言いたいほど溜めたよあの子。走馬燈で人生の全シーンを確認した上で「ないですね」って言ったのかってほど。その場合は「なかったですね」と言うべきかなんて、ホントどうでもいいことを今でも思い返して、一人で笑ってる。その秒数を計測したいくらい。あんなボケを急にぶっ込んでくる奴、初めて見た。男でもいない。ましてやそれが自分より遥かに若い女の子とは。それを聞いた男性社員は別に何も言わなかったけど、私ならそのくだりは絶対に拾うけどなぁ。当方は生粋のツッコミ人間でもあるから。あの子が私と正反対の性質を持つ人なら、生粋のボケ人間なんだろうか。僕らいつか、世界一の夫婦漫才が出来るんじゃなかろうか。

私は昔、世界一のボケが出来る奴がいるならコンビを組んでお笑い芸人になってもいいと思ってた。ユーモアより価値のあるものなんて、今でもないと思ってるよ。笑うことより楽しいことも、笑ってくれることより嬉しいこともない。それはずっと変わってない。一生変わらない。不変で普遍の価値観。

あの妙にほんの少しだけ低い声も癖になる。何だか不思議と耳に残る声質。逆に私は男としてはほんの少しだけ高い声なんだよね。私も結構、声がいいとか、カラオケで褒められたりもするけど、これは声域の幅による表現力の部分をいいと思ってるんだろうなって感じてる。あの子も本当にグッとくる声なんだよなぁ。あの声が持つセクシーさや色気に、本人は気が付いているんだろうか。

不思議だ。本当に不思議だ。思い出せば思い出すほど、自分の鏡のようだ。全く同じに見えるのに、実は正反対。