小さな夢

やっぱし一回くらいはマコを食事に誘った方がいいのかな。あの女もどう考えても自分にとって縁浅からぬ普通の女じゃないんだよな。

でもさ、先に若菜さんという金メダル女に出会ってしまったからさ。マコは精々8位入賞レベル女だからな。出会う順番が逆だったら、マコと普通の恋愛をしてたと思う。今までは他に好きな人が出来たから別れるとか意味不明って思ってたけど、若菜さんの衝撃があまりにも凄すぎて、こりゃもし誰かと付き合ってても最早彼女のことなんざ上の空で、別れざるを得ないよなぁって初めて感じた。

いや、8位入賞でも凄いことですよ。そりゃ、可愛い女の子なんて世の中に山ほどいる訳ですよ。でも別に可愛いから付き合いたい訳じゃない。俺だって若い頃は可愛けりゃそれだけで好きになったけど、今はもうそうじゃない。生理的に無理なレベルの女でなけりゃ性格の方がよっぽど大事。一緒にいて楽か、傍にいて癒やされるか、目を見つめて落ち着く人かってことの方がよっぽど大事。美人は三日で慣れるし、どうせ美しさというものは永遠ではないからね。美というものは期限付きなのです。女なんて可愛くなくても若いってだけでガキの頃からチヤホヤされてんのに、もし美が生涯衰えないとしたら男女格差もいいとこやぞ。若くてほんのちょっと可愛いってだけで男の30倍モテんのによ。30過ぎてガクッとチヤホヤされなくなるのは理の当然やぞ。今まで散々っぱら男より得してきたんだからな。

俺だって誰でもいい訳じゃない。俺が好きになる女はいつも変わった女ばかり。それは俺自身がまず変わった男であるから。変わった女しか好きになれない。何かこう話をしてると解るんだよね、ああこいつは変わってる。俺に似てる。仲良くなれるかも知れないなって。

俺の小さな夢はマコと二人だけで食事に行くこと。まぁ、行かなくてもいいけどね。