創世

なにかにすがりたい。なにかだけを信じたい。

俺は有神論者だけど、べつに宗教を信じているとか信者になりたいとか、そういうことではないんですよ。教義とか興味ないし。仏教がちょっと好きなくらい。

俺はただ、宇宙を創世した奴がいるんだろうなって思っている。でも宇宙は庭の池程度の広さにすぎないのかもしれなくて、限りなく果てしなく大きいなにかのほんの一部かもなって思ったりもする。

まぁ、とにかく宇宙を作った存在がいるわけですわな。宇宙のすべてはそいつの掌の上にあると。そんで地球という星には、なにがしかのルールが決まっていて、どうも人間というものは、運命の大きな流れの中で生きるしかないと。それが宿命なんだと。

うん。それを信じている。うん……で?なんだよな。それを信じているからなんなの?っていうね。俺の現実はなにも変わってくれない。霊能力も超能力もない。自分の能力でスピリチュアルを体感したわけでもない。

ゆれる。やっぱり、ゆれる。俺は信じているけど、宗教みたいに生活や人生にまで信仰が及んでいないから。

どちらかというと、アニミズムの方が信じるのは簡単で、海には海の神が、山には山の神が、森羅万象には神々が宿っているっていう方が、日本人の俺には理解しやすい。八百万の神だ。

でも、アニミズムも俺の苦しみを解除してはくれない。むしろ、人間など八百万の神の足下にも及ばない矮小な存在に思えてくる。人生が順風満帆だったら、思い上がらず自分を戒める意味でちょうどいい信仰対象なのかもしれない。

なにかを信じたい。なにかだけを信じたい。

それはなんてことのない恋愛なのかもしれない。

結婚したら、なにも思い悩まなくなるのかもしれない。

けれども俺の人生はどこまでいっても孤独なので。

信じるものは救われる。

じゃあ、信じなかったらどうなるのか。

仮に信じなくても、ほんとうの神ならそれでも許してくれる気がする。