自由な話11

運転免許証とは浅からぬ因縁があって、ハタチの頃に親父と大喧嘩するんですね。

もうそれこそ殺し合いレベルの。

俺はあの時、どっちかが死んでいてもおかしくなかったと思っている。

まぁ、ぶっちゃけ俺がニートだったのが悪いんですけど。

その頃は病気の兆候もなく、ふっつーにニートだったんで親がブチギレるのも解るんですけど、俺は10代の頃から苦労続きで、若い頃に楽しく人生を生きてきた両親を憎んでいたところもあったので、正直殺してやろうかとも思った。これは今思うとの話で、当時は何も考える暇もなく大喧嘩に突入したので。何しろ、初っ端から一升瓶が二本も俺目がけて本気でぶっ飛んでくる訳ですよ。もうその時点で殺意を感じるよね本気で。当時の一階がメチャクチャになるほど大喧嘩は続きました。

人生で最も辛かったことワースト10に入るくらいの地獄でした。まぁ、これと同じレベルの苦しみが他に9個もあった人生を想像してもらえれば、少しは私の苦労がご理解頂けるでしょうか。本当は10個どころじゃないんですけどね。

とまぁ、そういう大事件がありまして。

翌日に俺は自動車学校へ通うことにした。

すぐに働くのは無理だが、少しでも活動していることを示すために。

苦労の末に運転免許証を取得したと思ったら、3日後には高速を使って長野に向けて走らされたり、酷い目にも遭いました。

親父が病気になり死んでからは、一切運転していません。

そもそも車が嫌いだし、運転も最低レベルの下手さなので。

酔った親父を助手席に乗せ、一時間半くらいかけて親戚の家から自宅まで無事に辿り着けたのは、今でも奇跡だと思っている。

そういう因縁深いというか、思い出深いというか、運転免許証にはそういう記憶があるのです。