本当の物語

ふつうに考えたらドラマよりアニメの方が嘘のない本当のことって、意味不明だよな。

アニメよりマンガの方が解りやすい。声優がいないから。

マンガというのは全てが嘘であるがゆえに全てが本当のことなんですよ。

マンガのキャラクターは実在する。

その完結された世界の中にだけ本当の物語が存在する。

作者と私で嘘のお話をする。

それは全て本当のことになる。

線や丸の集合体を「人」だと認識した時から嘘のお話が始まる。

「人」が語り出す物語は全て嘘であるが、物語の住人たちはそれを全て本当のことだと思っている。

その閉じた世界の中で起きる何もかもは本当のこと。

誰かが泣いたのなら、それは本当に誰かが泣いたのであり。

誰かが笑ったのなら、それは本当に笑ったことなのである。

マンガのページを開いた時だけ、その世界は存在する。

主人公は恋をして夢をみて成長する。

18歳で終わる物語も、本当は10年後も20年後も存在する。

あくまで物語は数年を切り取ったに過ぎない。

そこには確かに人生がある。

物語とはそういうものだ。

作者が描き終わっても続いていく。

なぜならそれは、本当の物語だから。

おしまい。