「わたしの自慢のくまちゃん」がゴミを見るような目で捨てられる時。
泣いているくまちゃんを想像してしまう。
……って書きながらすでに泣きそうになっている。
俺はある時から、ぬいぐるみや人の形をしたもの、キャラクターを受け入れられなくなった。
捨てる時を考えてしまうから。
任天堂のアミーボもギリギリのライン。
というかアウトなんだけど、ゲームのデータのために仕方がないって感じ。
ゲームと関係がなければ絶対に買わない。
少しでも俺が感情移入してしまうものは買わない。
泣いているくまちゃんを見たくないから最初から買わない。
俺がこの人と一緒に生きていくことになると確信したら、くまのぬいぐるみを買ってほしい。
俺が死ぬまで捨てなければ、くまちゃんが泣くことはない。
一緒に焼いてほしい。
一緒に空まで連れていく。
俺が「わたしの自慢のくまちゃん」にどれだけ感情移入しているか解るか。
少女に抱きしめられて笑顔のくまちゃんが、いつかゴミを見るような目で捨てられる日が来るという悲しみに、俺は打ち震える。
泣いているくまちゃんが、不憫で不憫で。
これは、付き合う前から別れる日のことを思って泣くという考え方に繋がるのだが。
俺の考え方はいつも終わりから始まる。
どうせ終わるなら、始まらなければいい。
どうせ泣くのなら、始まらなければいい。
何も知らない少女に、僕は黙って手を振った。